書籍「名もない日常のSTORY」

詳細
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/31987011





 団塊ジュニア世代である僕の見つめるこの日本社会への視点で綴った短編小説集。


 ■名もない日常のSTORY

 表題作「名もない日常のSTORY」は無名ミュージシャンである「僕」の野良犬的視点で街の風景を描き出し、心理描写を軸に時代を赤裸々に綴った作品である。
 二十一世紀初の我が国に新内閣が誕生して間もない頃、彼は親友と二人で映画を観に車で街に出掛けた。
 親友の運転する車の助手席から彼は街並みを見つめる。すると不意に心が得体の知れぬ感覚に捕らわれて…。

既存の社会に覚える矛盾と葛藤。
主体性のないぼやけた街の輪郭を心でなぞりながら偽りと真実を並べ、真心一つで時代に立ち向かう「僕」。
 その日彼は初めて自分の体感覚で社会にじわじわと拡がりをみせていたある社会問題に直面した。

 知的大人の好奇心を満たし真実の探求を促す一編。


 ■自由の翼

 主人公は「名もない日常のSTORY」と同一人物である。
 物語の舞台は「僕」が中学三年の冬に経験した公立高校の受験会場である。

 勉強の苦手であった彼は家庭の強い教育方針により受験戦争へとかり出された兵士となった。
 生まれながらにしてアーティストとしての魂を持った彼は、家族や学校社会との基本的な感覚のズレに酷く苦しみながらその日を迎えていた。絶えず何かがおかしいと感じる彼の心は苦悩に消耗し、精神がやつれ果ててしまっていたのである。
 しかし内面に恐ろしく孤独で激しい葛藤を抱える彼を理解する者は周囲にただの一人も存在しなかった。むしろ彼が感じていることを否定する人間ばかりが周囲を取り囲み、彼は自分自身を見失いながら偽りに覆われた冷たい世界の片隅で神を信じ続けていたのだ。
 彼にとっての神とは音楽であった。
 彼の友達は孤独とロックンロールだけであった。

 彼が高校受験をした八十年代の日本社会は、加熱する生存競争の中で学歴重視を重んじエリートコースからリタイアしようとする人間に対しとても冷たい視線を投げ掛ける、そんな風潮に覆われてしまっていた。
 彼の鋭利な感性は、人間が人間としてまともに生活していく上で絶対に失ってしまってはならない大切な何かを社会が物質的価値観の為に切り捨てていく行為に猛烈な拒絶感を示していた。

 時は流れ平成十九年。
 彼はすっかり大人になっていた。あの少年の日に愛して止まなかった音楽と共に。
 そして彼は当時を回想しながら、次世代を担う子供達に心の中でメッセージを呟く。

 「自由の翼
 未来ある子供達は勿論のこと幅広い世代の人々に読んで欲しい大切な一作品である。


 ■礼節神話伝

 東京の某広告代理店で働く三十三歳の男はコピーライターとしての仕事に疲れ、ある日ふる里である田舎町に有給休暇を取り帰郷するシーンから物語は静かに始まっていく。

 大学を出て就職した会社で真面目に働き続けてきた彼は心に大きな葛藤を抱え込んでいた。
 消費社会の荒波に揉まれながらやがて彼は人間が本当に生命を輝かせ生きることの意味を強く求め始めた。そんな彼は、礼節を失ってしまった社会の中で自分自身や社会の未来に希望を持っていた。それは彼自身が作家を志し始めたことによるものであった。
 彼は都内に借りた一人暮らしのマンションでパソコンに小説を打ち込み始め、たとえ微力であったとしても作品を通して世の中の変革の為に力を尽くしたいと思った。

 彼は団塊ジュニア世代であり、彼の親達の世代である多くの団塊世代の人々との価値観のギャップから生みれる葛藤や問題の解決の為に今自分に一体何が出来るのかについて思考し続ける。

 ふる里への帰郷を物語のモチーフに、礼節なき時代に向けた主人公の男の熱く痛切な魂の叫びのメッセージを散りばめ、生き方のターニングポイントを迎えようとしている多くの大和民族の魂に捧ぐ祈りの一編。


 ■一から始めよう

 この作品は、経済戦争に明け暮れ傷ついた我が日本国民の皆様への手紙である。
 一人ぼっちを感じてしまった時などにはそっとページをめくり、言葉をどうかあなたのその胸で受け止め感じてみて欲しいと願う。

 一から始めよう。
 どこまでも高く広がっている空はあすに続いているよ。限りなき愛のように。


 ※書店に並んでいない場合は取り寄せ扱いになります。インターネットの楽天やアマゾン等を利用しても入手可能です。
 是非、ご家族お友達等と共に新しい時代について考えてみるきっかけになればと願って止みません。