御伽話



 上下左右に蠢く欲望。
 誰によって、何の目的で紡がれた物語なのか。

 哀れ、浮き世の物語。
 哀れ、浮き世の物語。


 福島の空を覆う放射能
 いや、関東を、東日本を…。
 言葉を選びたいとは思うけれど、現実に起こってしまった事態に対して、この国の多くの人々は、いまだ生き方を省みることもなく…。

 福島の子供達は、未来なき今日に置き去られ。
 この国に正義などはない。

 東京は沈みゆくが、誰もその危機に目を向けたりはしない。
 世界各国が脱原発に流れ始めていたけれど、この国では、そうはならないんだ。

 それは何故だろう。

 それは、金の為。
 それは、地位の為。
 安全や安心を捨てても、守りたいものがある。

 金が、名声が王様のこの世界。
 大人が子供達を守れない社会に、自由や平和、そして未来はあるのだろうか。
 正しいことが何なのかなんて関係ない。
 大人達は、自分の欲しいもの、守りたいものがあれば、それでいいのだろう。


 僕は、未来を楽観も悲観もしない眼差しで見つめていたいよ。
 だけど、自由なんて御伽話。平和なんて御伽話さ。

 八十年代に、本当は気が付き改めなければならなかった筈の、社会の大きな過ちが幾つもある。
 だけど、それはダサい話。重い話。
 誰も、本気になって取り組んでこなかった過ちがある。

 国が滅びゆこうとしているけれど、誰もそれを認めたりはしない。
 そんなヘビーさよりも、甘い甘い御伽話をいつまでも信じている方が楽だもの。
 それとも、いつの日か、どこか遠くから特別な人がやって来て、僕らの過ちを正してくれることを期待しているのかな。

 福島支援の名の下に、放射能入りの食材が全国に出回り…。
 国が狂った欲望の大海原に沈んでゆくよ。

 僕は、ロックなき社会に、ロックに抱きついて、心ざわめかせ。


 この世に一輪の蓮の花、僕は咲かせてみたいと願う。
 逃げ場のない世界。
 悪い夢だったらいいのだけれど。

 因果応報、我を知る。

哀れ、浮き世の物語。
哀れ、浮き世の物語。