鮮明さに零れる空の色
今月23日は、ライブハウスHIDEAWAYで歌いました。
今日は、そのライブ映像と散文を届けます。
この日は、地元の若いミュージシャンも集い、バイオリン演奏などが聴けて、とても楽しかったです。
こんな風に、身近な世界こそ天国色に染まって見える様な心で、いつも生きていきたいなと思う日々です。
SET LIST
1 素晴らしき人生を
2 壊れたルール(One chorus)
3 モンシロチョウ
4 愛しき人生
5 僕にできること
鮮明さに零れる空の色
開け放った窓からは、風のメロディーが吹き込んでくる。
僕は、愛の歌を胸に抱きしめる。
終わりなき優しさが微笑み返してくる様な、秋の午後の柔らかな陽射しが、心に敷き詰めた枯れ葉みたいに散らばっている。
何だろう、とても不思議な気持ちになる。
何の制約もない人生の自由を、弄んでいるかの様な時間に漂い、そして僕は、部屋に寝転がったまま、窓の外に広がる青空が形を変えていくのを、静かに見つめている。
上手く歌えたなんて思えないままのステージだったけど、君の微笑みに出会えた喜びだけは、きっと本物だった気がするよ。
ありがとう。
贈るものは何も持たない僕だけれど。
歌って、とてもいいんだ。
たった三分から五分程度の音楽という名のドラマに、僕らは本当の自分の姿を追い求める。
ライブの夜、ライブハウスに集った若者達が、情熱にひりついたビートを体中から発散させていた。
男の子が大方で、子犬の様な純粋さをまだ瞳の奥深くに湛えている様に思えた。
社会に魂を虚勢されていない、そんなまっすぐさと自分の情熱に対する真剣さが、彼らの奏でる音楽からほとばしり出てくる様に感じられた。
僕は、初対面のそんな彼らの姿が何だか愛おしく感じられる思いでいた。
そして、見つめる彼らのステージに一瞬、オーバーラップした昔の自分の姿が見えた。
そうだ。
彼らは、彼らと同い年くらいだった僕自身の姿だったのだろう。
情熱に任せて、がむしゃらにかき鳴らすアコースティックギター。
バイオリンの優雅な旋律。
演奏を聴きながら、この国にもまだ希望が残されていることを感じる思いがした。
若者達の抱く熱き夢よ、どうか未来の大空を自由に羽ばたいて欲しい。
そっと、そう祈った。
その夜集っていた男の子達は、何だかやっぱりどこかロマンチストなんだろうなと感じさせるものがあった。
自分達の音楽に対して、まさに今希望に燃えている様な彼らにステージから歌を届けた時、とても純粋で素直に僕の歌を聴いてくれている印象が伝わってきて、それがとても嬉しかった。
そういえば、この間アメリカで名のある音楽家が駅で無名の青年の姿を装い演奏を続けたところ、殆ど誰からも見向きもされなかったといった実験結果の話を知った。
芸術なんてそんなものかなって、世の中との温度差の開きを僕自身いつも感じながら、この暮らしは続いていくよ。
だけど、そんなことすら本当は大したことじゃないだろう。
僕が、一体どんな風にこの一度きりの人生を生きたいのか。
見失っちゃいけないのは、ただそのことだけの様に思う。
僕は、自分の為に撮ったライブ映像を観ながら、邪気のない澄んだ青空の彼方に心を溶かした。