選挙フェス

 YouTube三宅洋平という一人のミュージシャンが選挙演説をしてる。
 選挙フェスという新しい政治スタイルの模索。
 いよいよ夏本番の渋谷ハチ公前は黒山の人だかりだ。


 僕は、初めて出会ったその青年の主張に心奪われていた。



 演説を真剣に聞き入る人々と慣れ合うでもなく、時に怒りの感情を露わに、その思いを全身で分かり合おうとするエネルギーに変え、爆発させ、その肉声はロックそのものの匂いで周囲にとどろき、僕は彼に熱いヒューマニズムを感じる思いがした。
 チャランケというアイヌの言葉を使い、自らの政治スタイルを聴衆に届ける。
 彼の口から零れる言葉は、新しいパラダイムを縁取るように、何だか明確な輪郭を帯び、それは政治の枠を飛び越え、宗教的でさえあった。
 僕は七月の選挙戦の流れを見つめ、世界が大きく生まれ変わろうとする今という時を、インターネットを利用して共有し、もう一度、自分自身が立ち上がり、歩き出す為に心の中に何か大切なものを掴もうとしているようだった。


 新しき次元に目覚める魂達の象徴としての青年の声がここに存在する。
 闘うよりも愛し合おう。
 彼のメッセージの根底に流れる、世界平和への思い。
 現在ある政権を打倒する訳じゃない。
 その後各地の演説会場でも、彼はその意味を伝え続けていた。
 そのやり方で成功した為しなどないことは、僕自身の人生の中で学んだ大切な教訓でもある。


 今までの政治になかった重要な流れを感じ、そして僕自身の意識の変化とぴったりシンクロした世界の変容を見つめていた。
 誠意ある本当の思い、真心を周囲に伝え、行動すること。
 自分とは違った主張にも耳を傾け、排除することなく調和を求め歩み寄る、他者を尊重した社会モデル。
 継続可能な循環社会の創造は、まず僕ら一人一人の心の中に。
 そう思う。
 そして、その精神性は原発なきフリーエネルギーの出現を引き出す意識波動なのだろう。


 人と人とのコミュニケーションの間に無条件に相手の意見をまず受け入れる姿勢は、継続可能な循環型社会の根幹を成す意識に違いない。
 誰も傷つけることなく、静かな優しい心で誰もが生きていける社会が、きっと描けるさ。
 いや、それはもう始まっている。


 俳優の山本太郎然り、新しいライフスタイルのビジョンの担い手達は、それを見守る全ての人々の心の叫びの投影だと僕は思うんだ。



 選挙戦も折り返しだ。
 今までは選挙に無関心だった若い人達に特に、YouTubeなどを利用して、彼らの生の声に触れ、何が正しいことなのか、もう一度考えてみるきっかけにして欲しいと僕は願った。
 そして、それぞれの世代の立場の違う人々の知恵や経験から得た力も、この国には今必要だと思う。
 意見が違ったとしても、きっとそこから生まれる真実がある筈だ。
 だから、必要のない人なんてこの世には一人もいないということ。
 皆がいて初めて、この世界は美しい調和のハーモニーを生み出すことが可能なんだと思う。
 僕らは世界平和という壮大な一枚の絵を描くピースの一つ一つだ。
 君がいなければ僕ではいられないし、僕がいなければ君もまた、君のままではいられない。
 僕は君という神の分身であり、そして君もまた、僕という神の変化だろう。
 分裂することからは、もう何も生まれない。
 与え合い、分け合い、認め合うことでしか、この先の未来は創造出来ないだろう。
 それがきっと、3.11という一つの世界の終演が僕らに見せてくれたこと。
 奪い合い、傷つけ合う世界はもういらない。
 勿論、簡単に理想の未来が描ける訳じゃないけれど、それでも必ず僕らは、人を愛すまっすぐな思いを胸に生きる社会を勝ち取る為に、今日出来ることから一つ一つ立ち上がり、行動していくことを誓おう。


 原発、労働問題、TPP等、僕らが生きる為に今知るべき権利の意味について、真実がより広く社会に知らされますように。