幻影への脅え

 降りしきる雨の中、当てもなく人生を彷徨い歩く日々がある。
 時には思いやりの意味を肌で感じながら、それでも次の瞬間にはさっきまで信じていた筈のその思いを心で裏切る様に背を向け歩いてしまう日々もあるかもしれない。
 ありふれた日常の中で、きっと人々は自分自身への要求を他人に期待しながら創造力を静かに失っているのだと思う。
 そして、僕はまた真実に戸惑い、愛の意味を歌の中で探し続けるのだろう。
 現実の中で心が酷く擦り切れて痛む時、優しさはきっと寂しさの中、その答えは孤独の中にこそ姿を現すものなのだろう。
 約束は、時の中で忘れられ裏切られ、人の心は信じ愛し抜く力と強さを覚え、勇気を握りしめてゆけばそれでいいのかもしれない。

 僕は、自分自身の至らなさや未熟さや無知や無関心にこの旅の中で出会いながら、全てをこの胸で受け止める為に、また跪きながら、一つ一つの罪を償う様に歌い続けてゆくのだろう。
 即ちそれが幻影への脅えの中で見つけた、僕の愛し方なのだろう。