LAST MEDICINE

   孤独と背中合わせに

極限状態の中で人が神でい続けるなんて綺麗ごとだと君は笑うんだ。
それが君の人生への答えならば、僕は永遠に孤独と背中合わせにロックンロールを歌い続ける運命なのだろう。



   五感の神秘

 蝉の鳴き声も記憶の中へと消えた朝。
風に乗り運ばれて来る草花の香りが、子供の頃の思い出を強烈に蘇らせた。
意図せず働く心。
古い名曲の味わいに似たときめきの色が僕の世界を一瞬にして変えてしまい、未来はまるで過去を投影するかの様にその模様は形作られ。
五感の神秘に真実が通り過ぎたと感じたから、僕の魂はそっとまた歌い始めるんだ。



   許し

許すということの本当の意味について音楽はまだその姿を次世代に語り継ぐに至っていないと感じていた。
僕はたとえ一人ぼっちになってしまったとしても、その先を歩みたいと心の中で強く願ったんだ。
それが僕の歌の中での祈りの発生の根源のような気がする。



   祈り

祈りの根底に延々と流れ続ける愛と情熱のハーモニー。
期待する失敗に学んだ愛の教訓を思えば、歌い続けることの真の意味がきっと僕にも理解出来る筈さ。
その意味を摑み取りたくて、僕はまたふと目を閉じ祈り続けるんだ。



   足搔いた天国のメロディー

 愛の蒸発を恐れて、人生を捨てちまうというのかい。
人生の中で人が覚える裏切りの悲しみは、一片の詩を形作る。
そいつを俺はメロディーに踊らせて、愛するということを知りたくてこの世界の痛切さと、そして美しさを表現するのさ。
その衝動と行為は偽善的祈りよりも早く、俺に天国の存在を感じさせ証明するものだったんだ。
お前は次の扉に手を伸ばし。
人生を捨てるか拾うかは、きっと俺達が神の意識に上らんと足搔くか否かにより問われ決定されてゆくのだろう。



   芸術  

 今日一日を生き延びる為の魂の叫び。
 それが俺にとっての芸術だった。
 人の暮らしは大半は金の為に魂を売り払わなくては、いわゆるまともな社会生活は送れないみたいだった。
 だけど俺は未だに青臭い夢を抱きしめ続けているんだ。
 俺は夢を信じ愛さなければ、本当に今日を生きてさえゆけないのだから。



   鈍感な日常
 
 あまりにも平和なこの国の暮らしは、文明に彩られるばかりに、今や仮想現実の中に存在しているかの様さ。
 心は誰かに殴りつけられても、その真意を感じ取れないみたいに麻痺し鈍感になっているよ。
 だけど、一方ではとても被害者意識が強過ぎるんだ。
 つまりは、俺達が平和の中で置き去りにしてきた無意識の中に眠る本音に触れられないことが問題なのだろう。