良いお年を

 大晦日の午後の街は、静かな暖色の佇まいを見せていた。


 不景気に泣く暮らしも、そろそろこれからが本番で大変になるのだろう。
俺は、そんな風に思いながら、閑散とした街を見つめていた。

 下流社会は、洒落にもならぬ貧しさに傾き続ける。
 経済大国は、熱くたぎる情熱の炎を失ってしまったかの様だ。
 国民の抱える社会不安や寂しさを思えば、安定した暮らしへと導く知恵と心の財産を、俺は今一度皆が心から求めなければと、焦る気持ちを覚えずにはいられなかった。
 国の偉い人達は、金と権力を握り、身の安全を確保した身の上で、下流社会を救うことなんて、きっと考えてはいない。
 だから、国民は今こそ団結の時だと俺は思う。
 貧しさは、人生にとって本当に大切なものが何かを教えてくれる。
 確かに人間は醜い生き物だと言える側面をたくさん備えている。
 だからこそ、気高く生きる姿に憧れるものなのかもしれないし、そうなれるように努力しなくちゃって思うんだ。
 世の中には色々な努力があると思うけれど、人間が真に持つべき勤勉さの意味を、この時代に、俺達はきちんと理解し直すチャンスを得ていると考えてごらんよ。
 その先に歩めば、きっと人生での悲しみは幸せを示す師となるだろう。

 All Right!
 二〇一〇年に心からありがとう。

 俺は今年も、たくさんの言葉を費やし、何だか形にならない思いを下手くそでも自分なりに伝えてきた。それが、正しかったのか間違っていたのか、きっと答えはないのかもしれないけれど、それが俺の愛し方だったと告白させて欲しい。


 いつの日か、きっと俺の魂の叫びに触れてくれるであろう、たくさんの魂にも、今この時間を借りて、スピリチュアルメッセージを放ちます。

 今現在、様々な困難を感じておられる方は、どうか激動の時代の変化を恐れ過ぎず、御自身の魂を輝かせる喜びを、その人生に引き入れる心のスペースを探して欲しいと切に願っています。

 大変生意気を言うのですが、この時代には本物の芸術というものが社会の表舞台に見当たらないというのが現実の様に、ずっとそう感じ続けています。
 インスタントなライフスタイルで、育む忍耐を忘れ、怠惰に流されてゆく文明社会は、感動のない文化に、偽物のエンターテイメントを流行らせ続けている様に思うのです。
 俺の愛する音楽一つを取ってみても、それは同じこと。
 たかが歌、されど歌だと俺は思っていて、音楽が本来世の中に及ぼす影響力と、負うべき責任の大きさや重さは、図り知れぬものがあるのです。

 音楽は、物質ではない為に、高速の原子レベルでの運動を続け、人間の細胞や意識に、ともすれば神がかり的な働きすら起こしうる、三次元を超越する神聖なものだと思います。
 そして、世界から音楽を取り上げたと仮定してみたならば、きっとすぐに人間は、自らの思いをリズムやメロディーで表現せざるを得ないことでしょう。
 きっとこの世では、神様と切り離された世界で孤独を感じているであろう人間には、音楽という神様と一体となる手段としての表現が、生きる上で重要な働きを務めているのではないでしょうか。勿論、これは音楽の持つ性質のほんの一側面であると思うのですが。
 そういった意味でも、有能なミュージシャンの出現を期待していますし、また俺自身も頑張らなければという熱い使命感を感じ続けています。


 さあ、そろそろ大晦日も終盤ですね。
 皆様、良いお年を。