KEY

 連日の猛暑続きだった八月も、突然秋になったかのような季候の変化を見せた。
 すると台風の影響から、埼玉や栃木では近年発生していた竜巻による被害が出ていることをニュース映像から知った。



 季節のうつろいは実に見事であり、そして一瞬のイリュ―ジョンのようだと感じる時がある。
 近年の僕は、暦上の季節の変わり目には、大地のエネルギーが明らかな変化を遂げることを、昔よりも体でより明確に感じ取るようになっていた。
 季節の変化に伴う大地のエネルギーの変化は、完璧な自然のサイクルの中で営まれるのだから、この世の摂理とは実に神々しいものに思えてくる。


 世界では、シリアへの軍事介入のことで様々に国際的変化が見られた。
 そして、ネットを通じて世界の真実を日々目の当たりにしていた僕ら地球市民は、もはや古い政治システムに対して沈黙してはいられず、様々な抗議活動を展開していた。
 米軍兵達は、9.11やイラク戦争の真実に学び、シリアへの軍事介入を拒否する動きが見られ、ケムトレイルの問題にしても同じで、事の真相を知ってしまった地球市民の意識に目覚め始めた人々は、独自の判断により、自分を生き始めようとしていたのだろうと思う。
 世界の真実なんて殆ど何も知らされることのなかった、9.11発生当時とはまるで別世界のようだ。
 飛行機を操縦するパイロットらが、自らケムトレイル散布というブラックな政策にNOを叫ぶという、民意主体の新パラダイムの構築が始まったことを、これらのネット内でのニュースは僕に伝えてくれていた。


 それでも、我が国日本は東京五輪招致に躍起で、環境省大臣はいまだに汚染水は問題ないレベルであることを世界に声高に叫んでいた。
 僕はそんなニュースを観ていて、日本の恥を広めるのはもう止めにしましょうよと心で叫んでいた。
 どんなに嘘がバレても、自分の主張を言い張れば関係ないというような幼稚な生き様が、この国を動かす中枢で働く、僕らの先輩の中にたくさんいるのだ。
 勿論、人生の先輩には敬意を払うべきであるし、そうしたい。
 だけど、子供を見殺しにして、ひたすらに自己欲求の追求ばかりに生きる先輩を見過ごすことは出来ないし、それは今度は僕らの罪というものだろうと思う。
 社会的な何かを守る為に、不道徳を容認した自らの罪に、僕らは一体どんな人生の代償を支払うのだろうか。
 生き延びるだけのハッピーエンディングなんて、本当に幸せなのだろうか。


 五輪招致も本当は素晴らしい。
 だけど、それは原発事故がなければの話。


 恐ろしいほどの毎日の報道規制の中で、世界中でまるでこの国だけがパラレルワールドみたいに分離した現実を生きているかのようだ。
 だけど、その夢からも、もう目覚めなくちゃ先のないような時期だ。
 資本主義ベースの社会は、もう終わったのだ。



 多くの人が人生に葛藤を抱え、辛い時だからこそ、僕らには今優しさが必要だ。
 いつも冷たく見えるポーカーフェイスのあの人だって、本当は複雑な心理状態の中で周囲からの温かな愛のサポートを最も必要としている悲しみの人なのかもしれないのだ。
 だから、助け合おう。
 大したことをしなくちゃならない訳じゃない。
 ただ、それぞれが心に微笑みを少し持てるように、まず初めに自分自身に優しくなれる生活を見つめ直すことから始めればいいように、僕は思う。


 幸せオ―ラは必ず世界に伝染するものだろうから、そうすれば何も目頭を尖らせるように反戦を掲げなくても、自然に世界は調和されていく筈さ。
 だから、このだだっ広い世界の平和に貢献することだって、本当はごく個人単位の、最小である地球市民としての意識レベルから、こつこつ地道に始めればそれで通常OKってことだろうと思う。
 それに、実際問題自分のことを取り組むより、日常的には普通僕らにはやりようがない訳で、だからこそ、世界平和実現の為のキーがここに眠っているということなのだろうと思う。