TODAY

   さらば資本主義より




   TODAY


 1992年
 東京



 埃っぽい街風が、額に流れる汗に溶け、素肌をべたつかせる。


 鉄骨を地面に打ち込む工事現場の地響きに、僕はこの街の願う発展の行く末を思い、伏せ目がちに小さなため息を洩らした。
 アスファルトジャングルの掟に誰もが呑み込まれ、丁度あの鉄骨の地響きに黙り込んじまうみたいに、この社会を司るものの見えない力に押され、人生が流されていくかのようだ。



 ポケットの中のコインだけが頼りであるかのようなこの街で、ロックンロール。
 何だか僕の生き方は、時代錯誤みたいで、政治、経済、産業、ファッションにグルメさえも、何だか上手くそぐえないままで、僕は今更何を夢見ているのだろう。


 高校を卒業してから今日まで、随分余分に年を取ったような気分だ。
 大人になるって、一体どういうことなのかな。
 遥かなる故郷を思い、そして遥かなる夢を追いかけている。



 黄昏の迫る渋谷で、いつも群衆の中の孤独と僕は背中合わせだった。
 駅の改札を擦り抜ける時、まるで不法密入国者のような場違いさを感じ、十八の多感な青春の日々が、この狂った社会の皺寄せを食らい、悲鳴を挙げ続けていたんだ。




TODAY
Words & Music by Yoshinori Sugawara


黄昏 季節移ろい過ぎゆく 日常 色褪せ
あくせく暮らしは 人や愛や夢 傷つく平和かな
擦れ違う生き様
人を救う言葉が知りたい I Love You Wow


   群衆まぎれて 物思い 輝いた青春の歌が聞こえる
   この街で僕は強く生きなきゃ 愛を叫び伝え歌うよ Today


壁伝い 野良犬みたいに ほら 真実へ彷徨う
心のポケットには想い出と 汚れた絆かな
擦れ違う生き様
何ができる ガラス作りの歌 I Love You Wow


   群衆まぎれて 一人ぼっち 幸せを分かち合う夢を見ている
   失くしてゆくことばかりみたいさ 夢を叫び伝え歌うよ Today



人波流され 心呟く 愛 Wow


   群衆まぎれて 物思い 輝いた青春の歌が聞こえる
   この街で僕は強く生きなきゃ 愛を叫び伝え歌うよ Today
   真の自由 平和求めて Today